影をひろいあつめて

毎日一言日記

寂しくない(2019から2020のフレンズたちへ)

4~5時間電車に揺れるとそこには着く。そこでは11月の終わりに初雪が降る。一番雪が深くなるのは2月で、12月と1月はもっとも気温が低く、色のない月だ。電車から降りたときホームには雪が数センチ積もっていたが降ってはいなかった。シーズンを過ぎてしまったイルミネーションが誰もいないロータリーに向けて光っているのだ。

何日もサボってしまい、何を書こうか、悩みながらいろいろなことを書いて、結局残った言葉は一つもない。メモアプリに移して消した。編み出された言葉がただのタイピングの連続として、たった一つのdeleteボタンで消されてしまうのはあまりにも悲しい。2019年のことを何かうまいこと書いてやろうかと思ったが、映えない毎日を送ってきた。毎日違うことは起きるけれど、基本的には同じのことの繰り返しだ。どんなにひどい顔をして映っていようが自分の映った写真のポストが撮った作品にいいねは勝てないし、毎朝同じ時間に起きて15分でシャワーを終えて髪を乾かしながら歯を磨き、シリアルをかき込みながらつまらない顔に最低限の化粧をする。早足で歩いてちょうど電車が来る時間に駅に着くように家をでるから途中で猫を見かけても撫でずに通り過ぎる。猫を見かけたことはないが。昔は仲良くしていた人と少しの間会わないでいるともう仲が良かったということさえも信じられなくなって、今目の前の物事が唯一の真実だと思ってしまったりする。形を変えていく物は記録しておかなければ忘れられてしまうし、忘れらてしまうことはなかったことと同じだ。誰にも覚えられずに明日死ねたらいいねと話すが、誰にも覚えられずにいなかったことになってしまうのが何よりも怖い私たちは、だからと言ってあなたの目だけが欲しい時はある。欲しい物はだいたい手に入らない。

年賀状は書きましたか。あの人の本名や住んでるところもわからなかったから年賀状は書かなかった。あけましておめでとう。