影をひろいあつめて

毎日一言日記

寂しくない6

鈍行電車に運ばれて空腹の私は見渡す限りの田んぼの上でうつらうつらと夢を見た。

決めなくちゃいけない事を先延ばしにするから全部がダメになった。いつもギリギリになってから行動するやつはもしかしたらうまく行ったかもしれない事を自分からダメにしてしまう。うまくいかなかった出来事がタンスに山積みでそれ以上は入らないのに、あぁあの言葉が見つからないねぇ、拾いにいかなくちゃ…

街に流れる大きな汚く淀んだ川には高い土手があって、遠くを一直線に走っているあの子の尻尾が揺れている。私は長い階段をずっと登っていた。私の頭上で一羽の鷹が大きく迂回した。空の上ぇで広い羽根を広げて空気を抱く、こんなにも優しい世界でただ一つだけ湖に降りる階段がなかった。埋まっちまったあの坂の曲がり角に、酔っぱらったじじいに会いにいけたらな。だからしかめっ面をしながら私は化粧をしている。過去を拾いにいかなくちゃ。